今日は悪くない日
下田寛典 2022.03.03
2月に世界が大きく動くようなことが、この2年ほど続いている。2021年のミャンマーしかり、2022年のウクライナ(ロシア)しかりである。
数年前に読んだ『FACTFULNESS』で印象に残っているのは、「悲観的に世の中を見てしまいがち」で「過去を美化しがち(昔は良かった)」な我々の認識の癖のことだ。
多くの人が亡くなるようなニュースを見て、生の声が伝わってくると胸がいたむ。「世の中よくなっている」なんて言うこと自体、憚られる。
春に小学6年生になるうちの子が歴史の勉強を始めた。応仁の乱、承久の乱・・・。歴史の教科書は争いごとに溢れている。御恩と奉公の主従関係があって、土地の贈与と戦闘力の供与が交換(ギブ&テイク)される様は、昔も今もあまり変わらないんだなと思う。
午前8時、登校の時間である。玄関で「行ってきます」と手を振る子を見送る。そんな平凡な日常を繰り返す。
食卓に残された歴史の教科書を閉じ、テレビの電源を切ってみて思う。
今日は案外悪くない日だ。