目を瞑り手を合わせて
下田寛典 2021.11.04
毎朝、神社に行くのが日課になっている。朝の空気も冬と呼ぶには鋭さもさほどでなく、冷えてはいるが丸みを帯びている。神社までは10分もかからない。小さな神社で、境内まで100メートルもない。参道を歩いて神社の賽銭箱に向かい、お賽銭を投げ込んで、二礼二拍一礼。
手を合わせ目を瞑る。目を瞑っている間、何をおもっていたらいいのか、あまりよくわかっていない。「今日もお参りに来ましたよ」と挨拶するものなのだろうか。それとも何か祈るものなのだろうか。はたまた、懺悔をするものなのだろうか。
私はうっかり願い事をしてしまうことが多いのだが、「何するものぞ」と考えながら居ると、何もせずに目を開けてしまう時もある。そういう時に限って、「もったいないことしたな」と思う。
ここ最近は、「安心、安心」と、呟くように祈っている。世の平安なんて大それたことはなく、あくまで自分の心の安心。そんなに気持ちを荒立てる日常は過ごしていないのだけれど。
コロナを機に海外にもめっきり行くことがなくなった。日々暮らす町の小さな神社に護られながら、この町に浸かっている。だからだろうか。神様の存在を前よりも身近に感じるようになった。そして、今日も、安心、安心、なのである。