ソウルで10日間、ふるまいを観察しながら暮らすことにした
中澤大輔 2022.09.01
日中韓3ヶ国の「ふるまい」を収集して作品制作を行う “The Behaviour Project” のリサーチで、8月末からソウルにしばらく滞在しています。リサーチで気づいたことを書き留めていこうと思って、noteのアカウントを立ち上げたので、もし気が向いたら読んでみてもらえると嬉しいです。
ふるまいとは、個人が社会と関係性を結ぶ手段だと、僕は思っています。国が違えばふるまい方も違います。それを観察することで、その社会が持つ価値観や仕組みが見えてくる。そしてもし、ふるまいを少しでも変えられたら、社会のありようも少しずつ変わっていくのではないかと思います。ふるまいを取り扱うということは、身体表現でもあり、また社会活動でもあるのだと考えています。
あとプロジェクトの個人的な背景として、2015年にロンドン留学から日本に帰ってきて以降、自分というものがこれまでの生い立ちの中でどう成り立っているかを、もっと深く知りたいなと思ったというのもあります。分かりやすくいえば、自分が何気なくお辞儀していることに気づいて、自分は今なんでお辞儀をしたのだろう、みたいなことを突き詰めて考えると、自分が育った日本社会というものの背景、もっといえば近現代史というものに興味が出てきたのです。
このプロジェクト、実は2020年に制作発表する予定だったのですが、日中韓のダンサー6人と共同制作を行うという内容で、コロナ禍で国を越えた移動が制限されてしまったことから、毎年延期を繰り返していました。今年も延期が決まり、来年こそは実現したいのですが、まずは1人でも活動を続けようということで、今回は単身でソウルに来ています。今年6月には久しぶりにヨーロッパにも3週間くらい行って、やっぱり1箇所に留まっていると物事を見る目が固定的になってくるなあ、自分はいろんな地域を移動することで生き生きするタイプなんだなあ、ということを実感しました。
今回のソウル滞在では、なるべく思い込みやステレオタイプにならないような観察や記述を心がけていますが、こうしたスキルも、様々な国や文化を移動することで磨かれていくのだと思います。海外渡航がなかった2年のブランクの中、プロジェクトを進めるのはちょっと緊張しますが、好奇心が刺激される感じはやっぱり楽しい。noteでは、このプロジェクト以外のことについても書こうと思っているので、たまに覗いてみていただけると嬉しいです。