研究開発・商品企画・マーケティングのメンバーが部署を越えてチームをつくり、子どものいる家庭をターゲットとしたドレッシングの新製品開発を行い、中澤はデザインリサーチ・コンセプト開発担当としてプロジェクトに参加した。チームはまず、親子の食事についてのエスノグラフィックリサーチを実施。複数の家庭を訪問して、普段どのような食生活を送っているか、献立の決め方、料理の作り方などを観察・インタビューした。リサーチから見えてきたのは、毎日の食事づくりを楽しむ親がいる一方で、子どもに十分な食事を作れていないというコンプレックスを常に感じている親もいるということ。「これ食べたい」「美味しいね」といった親子間の食事の話題が増えることが、結果として親の負担を和らげているというストーリーに注目したメンバーたちは、子どもが食の話題や食事づくりに参加しやすくなる新しい調味料の開発を進めた。これまでマーケティングや技術視点から製品開発が多かったが、新調味料の開発はこの企業にとって「どのような体験を提供するか」という視点での製品開発のさきがけとなった。