おしらせ

  • 2010.8.21
    プレトーク 「オーク電気 × 石神夏希」 追加しました。こちら
  • 2010.8.16
    プレトーク 「濱野智史 × ぺピン結構設計」 追加しました。こちら
作・演出
石神夏希
キャスト
下田寛典
中澤大輔
稲葉佳那子
井上知子
帖佐寛徳
寺西麻利子
吉田能
米田顕亮

バイバイ、素敵なサムシング

水たまりに浮かんだガソリン。大事に抽斗にしまったままだったオーロラ折り紙。生まれて初めて見たレーザーディスクの裏側。

あの日はまだ、「コンピューター」とか「マルチメディア」って、"なんでもできる"って意味だと思っていた。コンピューターおばあちゃんみたいに、完全無敵な何か。「確かめよう、みつけよう」と言われても、具体的に何がどのくらいできるようになるのか、よく分からなかった。虹に何色入ってるのかは数えられないけど、ぜんぶ束ねたら透明な光になる。マルチメディアも、そんな素敵なサムシングだった。

そんな素敵なサムシングがいつか私たちの世界に来るらしい、という、それは噂だった。「マックのハンバーガーにはミミズ肉が入ってる」とか「人面犬を見た」とかと同じ、楽しくて無邪気な噂。オーバー・ザ・レインボー。

1989年のあの日、「平成はすぐ終わる、天皇が年取ってるからな」と父は言った。昭和が63年くらい続いたから、父の感覚では30年くらいまでは「すぐ」の範囲だったのかもしれない。子どもだった私は、平成は10年以内に終わるんだと思った。「平成」って響きは、縁日で売っているヒヨコを思い出させた。弱そうだし、なんか全然好きじゃない、と思った。すぐに死んじゃうものを、好きになっちゃいけないのだ。

 

いま、昭和のケツに生まれた子どもたちは21世紀最初の大人になった。気づいたら「平成」は私が思っていたよりずっと長く続いていて、「マルチメディア」は5コとか100コとか、数えられる何かになっていた。その数がこれから1000コとか一万とか、どんなに増えていったとしても、なんでもできる素敵なサムシングはもう来ないだろう。ヒヨコが大きくなったらただのニワトリだ。コンピューターおばあちゃんにだって寿命はある。それは分かってる。

それは分かっているけど、誰かあの噂にオチをつけてくれ、と思うのだ。できたら、ヒヨコが死ぬ前に。あの人が死ぬ前に。虹の向こうに立ち消えたサムシングを、もう一度見たいのだ。

  • チラシ表

  • チラシ裏

公演日程

8月28日(土) 8月29日(日) 8月30日(月) 8月31日(火)
15:00- - -
18:00- - - -
19:30- -
  • ※開場時間、受付時間含む
  • 受付開始:
    開演の45分前
    開場:
    開演の30分前

★:アフタートーク開催

8/29 19:30の回(公演終了後)
ゲスト:杉原邦生

チケット

前売 2,500円
当日 2,800円
学生 2,000円
  • ※日時指定・全席自由 ※未就学児の入場不可
チケット予約フォーム

会場アクセス

駒場アゴラ劇場へのアクセス

  • こまばアゴラ劇場
  • 〒153-0041 目黒区駒場1-11-13
  • TEL 03-3467-2743
  • ※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車 東口より徒歩3分
  • ※会場には駐車場がございませんので、お越しの際には公共交通機関をご利用ください。
  • http://www.komaba-agora.com

ペピン結構設計とは

1999年、高校の同級生5名で結成。慶應義塾大学の学生を中心にメンバーが集まり、STスポットやBankARTなど横浜の劇場にて作品を発表。また地元オフィスビルを再利用した創造拠点「北仲WHITE」に入居し、アトリエ「ぺピンポート」として改築しながら稽古~公演までを行った2006年『蜜の味』など、一貫して横浜を拠点とした作品製作を行う。

2002年、『東京の米』にて第二回かながわ戯曲賞最優秀賞受賞。2004年、同作品にて東京国際芸術祭リージョナルシアターシリーズに参加。2010年までに17本の作品を上演。結成当初よりメンバー全員で企画立案を行い、石神夏希が作・演出を担当。メンバー各々の日々の生活から生まれる問題意識を持ち寄り、作品に反映させることをポリシーとしている。2009年、結成10年を機に解散および「再設計」を行い、初期メンバー4名にて再スタートを切る。今回の公演では、2003年初演の『マルチメディア』に新たな解釈を加え7年ぶりに再演する。

 

マルチメディア

2003年、STスポットにて初演した本作は、「昭和のケツに生まれた、世紀末最後の子供たち」が主役です。同世代であるペピンのメンバー自身の体験や記憶を重ね合わせ、“20世紀が夢見た21世紀”の歪んだキラメキと、失われていくコミュニティの形を描きました。2010年、時代背景と自分たち自身の変化を踏まえた改変を行った再演です。

天皇が死んで「素敵なサムシング」がやってくるまでの、平成最後の一ヶ月を描いた物語。